日本共産党新座市議会議員団
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にいざ民報

2017.3.26  No.1710
日本共産党新座市委員会
福祉の里図書館は直営で
指定管理制度を導入するな!
 石島議員は「地域と連携をさらに深め、地域図書館として豊かにしていくため福祉の里に指定管理者制度は導入すべきではない」と一般質問しました。
石島よう子議員
石島よう子議員

 H28年10月31日の行財政改革推進本部で、福祉の里図書館と5分館(栗原、中央、大和田の各公民館図書館、西堀・新堀コミセン図書館、新座団地図書館)に、指定管理者制度を導入すると決定しました。司書7名のうち4名がH31年3月までに定年退職するので、中央図書館に司書を集約することで専門性が必要な図書館サービスを低下させずに継続することが可能になる、としています。

 図書館所管部の『制度を導入すべきでない』との理由は、1地域ポランティアや学校等が培ってきた連携・協力体制の維持、拡充が課題となる。2図書館サービスは事業収益が見込みにくく、民間での制度導入のメリットが乏しい。3指定管理者制度は契約期間があり、長期的な展望に立った図書館サービスを同一業者が継続して行える担保はない。十分なサービスが維持できるのかという課題もあり、慎重な検討が必要。の3点です。

 ところが行革推進本部は『図書館サービスの継続性や、専門性の担保、学校等との連携体制の維持などは重要であるが、他自治体の多くが制度を導入している状況から、本市でも導入すべき』と述べています。「所管部が重要であると言っていることが、図書館運営にとって本質で、最も重視すべきこと。また指定管理者制度は経費削減が目的の一つで、図書館司書がワーキングプアの例として国会で議論された。司書を正規職員採用して直営を続けるべき」と石島議員は質しました。

 教育長は「H27年度の県内の導入率は、11市24館、27・5%と状況が変わってきた」。市長は「一般事務職員の中に24名の司書資格を持つ職員がいるので、新たに採用する考えはない。指定管理者制度は必ずしも経費削減だけではない」と答弁しました。

 石島議員はさらに「文科省これからの図書館のあり方協力者会議や、中央教育審議会のメンバーだった糸賀慶応大学教授の著書『地方自治と図書館』の中に、『重要なのは人間の考える力をつけるのは教育。社会人になったら本や資料、情報を統合して、新しい知識や考え方を生み出す、そういう人材をたくさんつくりましょう。図書館は知の拠点、人と地域を支える情報拠点として可能性と役割があり、公立図書館は自治体の計画にもとづいて人づくり、街づくりを進める知の拠点となる役割がある』とある。多くの自治体が社会教育機関である図書館に指定管理者制度を導入していない理由があらためてわかる。直営を続けて、住民のための地域図書館を豊かにしていく街づくりを進めるべき」と求めました。

 教育長は「指定管理者制度には開館時間延長などのメリットもあるが、公の手で運営すべきであろうという意見もある。まず福祉の里図書館に導入して状況を見たい」と答弁しました。

LGBT(性的マイノリティ)
憲法の理念活かした条例改正を
 LGBT、性的マイノリティの人たちは日本に7・6%、人口にして約960万人、13人に1人がいると言われています。これは「人は一人ひとり違う存在」ですべての人が「自分らしく生きる権利がある」という問題です。
あしの修議員
あしの修議員

 あしの修市議は、3月市議会一般質問でこうした人たちの人権をしっかりと確立させるため、新座市男女共同参画推進条例に「性的指向」「性自認」を入れた条例改正を求めました。あしの市議は、すでに条例に「性的指向」「性自認」の定義を取り入れている多摩市や文京区の例を示し、条例改正を迫りました。

 市長は、「そうした考えは理解できる」としながらも「条例改正の考えはない」との答弁を行いました。

 あしの市議は、「多摩市や文京区は、憲法13条(個人の尊厳)や14条(法の下の平等)という理念で制定されたものだ。」と追及。さらに「最高法規である憲法体系の枠組みの中で、地方自治を担う自治体が、憲法で保障された人権規定を自治体の最高法規である条例で徹底することは、自治体の本来的責務ではないか」と追及。

 総務部長は「憲法の理念は理解できる。今後、先進自治体の条例を研究していきたい」と答弁がありました。

※LGBTとは、性的マイノリティ(性的少数者)の総称で、Lは、女性同性愛者のレズビアン、Gは、男性同性愛者のゲイ、Bは、両性愛者のバイセクシュアル、Tは、身体の性と意識の性が一致しなかったり、自分の身体の性に違和感を覚えたりする人のトランスジェンダーの頭文字をとった用語。
清水建設をなぜ優遇するのか
大和田2、3丁目土地区画整理事業・企業誘致支援者の審査
 一般質問で、笠原進市議は土地区画整理事業を取り上げ「清水建設をなぜ優遇するのか」と追求しました。
笠原すすむ議員
笠原すすむ議員

 大和田2・3丁目では、清水建設によって道路築造や上下水道工事などが進められています。昨年10月の臨時市議会で、これらの工事を37億6920万円で清水建設に発注することを自民、公明などの賛成で決定しました。しかし、戸田建設が3億1320万円も安い工事費で応募していたために、市は総合評価で清水建設の方が高かったとして決定したのです。

 調べてみると、費用の配点は50点満点で、清水建設も戸田建設も共に50点で差がありませんでした。3億円以上安くても評価は同じで、工事実績や管理計画などの評価で清水建設の方が高かったので僅差で一位が清水建設と決定したと市は答弁しました。工事費が3億円も違うのに、評価の点数は同じというのは多くの市民は納得いかないのではありませんか。工事費の評価の仕方で十分に逆転していた可能性があります。そうなれば新座市の支出は3億円以上も少なくて済んだのです。

 さらに、笠原進市議は3年前の企業支援者決定の審査でも清水建設の選定について疑問が残るとして追求しました。

 平成25年に、大和田3丁目の約10万平米に物流施設を建設する業者(企業誘致支援者)を決定する審査会が行われました。応募した企業は清水建設、プロロジスなど7社でした。総合評価で1位清水建設、2位プロロジスと発表され、議会に報告されました。平成25年9月24日に市議会全員協議会が開かれ、企業7社の提案書(概要)集が配布され、保留地取得予定価格などの一覧表が配布されました。この会議は非公開で、配布された資料は「複写、転載はご遠慮ください」とありました。(土地区画整理事業では、地権者が土地を出し合い工事費の一部を負担します。これを保留地と呼びます。この価格が高くなれば市の負担分が少なくなります)

●市負担が多額となる企業をなぜ選ぶのか

 笠原進市議は、「3年前の審査会でも清水建設は総合評価で僅差で上位となっている。しかし、保留地取得予定価格は清水建設が坪35万円、2位のプロロジスは坪40万円だった。坪5万円も違うと保留地は5万8000平米もあるので約8億7000万円も違ってくる。市の負担がそれだけ少なくなるのに、正当に審査されていないのではないか。土地単価については100点満点中8点しか配点されていないのもおかしい」と述べました。(採点結果は清水建設7.3、プロロジス6.7で、安い価格を付けた清水建設の評価が高くなっています)

 担当部長は、「プロロジスの坪40万円は土地鑑定価格より高かった。どうしても取りたいという熱意はわかるが、事業の安定性を考え、審査委員の評価は低かったのではないかと思う」と述べました。

●重要資料がスミ塗りで開示

 さらに笠原市議は、「審査会議事録を資料として提出してもらったが、重要な部分が多くスミ塗りで判明できないようになっている。企業を決定する前は非公開というのはわかるが、決定した後もなぜスミ塗りなのか。これでは正しく審査されたのかも不明だ。市の入札でも、工事費は公表されたのに、保留地の7社の取得予定価格は現在も公表できないというのはおかしい。」と指摘しました。

 市は、「入札の場合、工事費の総額は公表するが単価は公表しない。従って、保留地の取得予定価格も同様に考える」と答弁し、あくまでも情報公開では不開示にあたるとし、市民へは公表しないとしています。
 市は「財政が大変」と言いながら、平成29年度には大和田2・3丁目土地区画整理事業関連で約60億円も予算化しています。しかも清水建設を選定したことで、10億円以上も市の負担が大きくなっています。情報の多くをスミ塗りで分からなくして、事業だけは進行させることは、多くの市民は納得しないでしょう。

子どもの貧困調査や対策を・できることから
 辻みき市議は、一般質問で子どもの貧困対策について取り上げました。
 国の調査では子どもの貧困率は16.3%で新座市の子どもの数で単純計算すると4200人ほどになります。子どもの貧困は経済的な問題だけではなく、子育て環境の悪化から情緒不安定になったり、自己肯定感を持てずに育つと大人になってからの人生にも深刻な影響を与えます。早急な対応が求められます。
辻みき議員
辻みき議員

 辻市議は子どもの貧困の実態調査を行うべきではないかと質問しました。

 並木市長は「国の交付金を使った調査は全国の市町村で53しかやってない。どこまで実態を把握できるのか不明で国や県の動向を見守っていきたい、調査を行う考えはない」と述べました。

 辻市議は「交付金を使う大きな調査ではなく子どもに関係する機関や担当部署にアンケートをとることはどうか」と問うと「実態を発見するためのアンケート調査は行っていきたい」と答弁しました。
 また、新座市の基本計画に子どもの貧困の問題を位置付け、実態把握や対策を提案するための子どもの貧困対策チームを作ることを提案しました。

 市長は「計画に位置付けることは考えていない。また貧困対策チームを作る考えはない。関連する事業を着実に実施する」と答弁しました。

 辻市議は昨年の地域福祉計画に関する委員会の中で子どもの貧困についての議論を経て、第3次地域福祉計画の素案の中で課題として『子どもの貧困対策の推進』が盛り込まれた。行政は様々な立場の意見を同じテーブルに載せる役割がある。市には児童福祉審議会があり「市長の諮問に応じ、児童福祉に関し必要な調査及び審議を行う」とされている。これを活用できないかと再質問しました。

 福祉部副部長は「新座市子育て会議や児童福祉審議会の際に、その他という項目で子どもの貧困に関する意見や情報を提供いただくように活用することを検討する」と述べました。

 新座市には3つの大学があり、子どもの貧困についての専門家の方とも連携した取り組みを要望しました。

 湯浅誠氏は『子どもの貧困対策はまちづくりのひとつだ』と述べています。町内会やボランティアなど新座の強みを活かして、まちぐるみで貧困状態に置かれている子どもを支える施策が求められています。

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