日本共産党新座市議会議員団
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にいざ民報

2005.6.19  No.1118
日本共産党新座市委員会
六十五歳以上の方の非課税措置まで廃止に
またまた高齢者いじめの小泉内閣
 六月議会に「個人市民税の非課税措置を廃止する条例案」が提出されました。

 内容は、六十五歳以上で前年の合計所得金額(年金収入金額から、公的年金控除額・05年度は百四十万円、06年度以降は百二十万円・を引いた金額)が百二十五万円以下の方にかかる均等割と所得割の非課税措置を、06年度から廃止するものです。

 この間、高齢者の方は高齢者控除が廃止されるなど課税強化されていますが、今回所得が少ない方の非課税措置まで無くして、さらに課税が強化されます。

 06年度、07年度は経過措置で均等割、所得割とも軽減されますが、08年度から完全に非課税措置が廃止されて、課税されます。

950世帯が非課税から課税世帯に

 日本共産党は総務常任委員会で高齢者にどのような影響があるのか資料の提出を求めました。

 その結果、夫婦二人で前年の合計所得金額が百二十五万円の世帯は、非課税だったものが三万千二百円の増税になります。同様に、独身者で前年の合計所得金額が百二十五万円の世帯では非課税から四万六千五百円の増税になります。(下表を参照)

 新座市でこの対象になる世帯の数は九百五十世帯ということです。通常の生活をするのもままならない所得の高齢者に、さらに増税を押し付けるもので許されません。総務常任委員会では保守、公明等の賛成多数で可決されましたが、日本共産党は反対しました。
※表をクリックすると拡大表示します!
表 課税の影響
「歩く歴史教室in靖国神社」に参加して
 六月十一日「歩く歴史教室in靖国神社」が行われ、野寺地域平和委員会の呼びかけで新座から十二人が参加しました。

 講師は東京平和委員会の長谷川順一さん。「歴史教室」は、帝国在郷軍人会により建てられた九段会館前から始まりました。10分程で靖国神社へ。高さ25mの巨大な鳥居が立ちはだかりました。講師は、明治二年東京招魂社として創立され十年後、靖国神社と改称。アジア・太平洋戦争終結までの戦没者二百四十六万人余の名簿が「神」として祀られていることを伝え、一九七八年には東条英機元首相などのA級戦犯の合祀が強行されたいきさつなども紹介しました。広大な靖国神社の敷地内に置かれた朝鮮半島からの戦利品の解説を受けながら、戦争博物館「遊就館」へ。かなりのスペースに展示された日本の「戦争史」の侵略性と無反省に震撼させられました。

 日清戦争・・世界に通用する軍隊を作れ。北清事変、日露戦争・・皇国の興廃比の一戦にあり。第一次世界大戦とシベリア出兵、満州事変、支那事変・・大東亜戦争へとつながるレール。満ソ国境紛争、大東亜戦争・・避けられぬ戦い。など

 日本軍国主義によって侵略された国々の犠牲・苦難には一言もなく「わが国の自存自衛のため避け得なかった戦いであり」「そこに命を捧げた英霊の武勲を顕彰する」ことが靖国神社の使命と記されています。

 境内にいる人たちの思いはそれぞれでしょうが、戦後六十年平和憲法によってたつ日本の首相が、A級戦争犯罪人を祀り「日本の戦争は正しかった」と鼓吹してやまない靖国神社に参拝する、決して許されることではありません。

(投稿・野寺地域平和委員会 細野康雄)
子どもたちに歴史ゆがめる教科書を渡さないために
 子どもたちが使う教科書は四年に一度入れ替わりますが、今年は来春から使う中学校の教科書を決める年です。

 日本が行なったアジアヘの侵略戦争を正しい戦争だったと教える「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史教科書(発行=扶桑社)が、四年前につづいて検定合格しました。

 四年前は、内外の批判の中で、公立中学校での採択はゼロでしたが、今回は右派政治家などの力も借りて「十%の採択をめざす」として策動を強めています。

 新座市では、市議会に「扶桑社教科書採択を狙った」陳情が提出されたり、中田市議が「四年前扶桑社教科書が採択されなかった理由は何か」という一般質問をしようとし、議会運営委員会で「特定の業者の利益誘導につながる質問は許されない」と全会一致で削除の決定がされるなど、他市にはない事態となっています。「つくる会」が新座市を採択のための重点市として位置付け、活動をしているものと思われます。

 教科書採択の権限は市教育委員会にありますが、実際の採択に当たっては、新座市は上尾・桶川・戸田・蕨・朝霞・志木・和光など十四市町で「採択地区」を構成し、共同で同一の教科書を採択しています。

 子どもたちに歴史をゆがめる教科書を渡さないために、教育委員会に意見を述べるなど働きかけを強めましょう。

 教科書展示会が六月十七日から七月二日(9時半〜4時半、月は休館)まで朝霞市コミセンで開かれます。だれでも参加できます。見た感想・意見を投函しましょう。教育長は市議会で、「学校現場や市民の声は大切にし、判断の資料にする」といっています。

扶桑社歴史教科書の問題点

 歴史教科書は8社あります。「つくる会」(扶桑社)の歴史教科書の問題点を述べますので、展示会で見る時の参考にしてください。

1天皇を中心に歴史を描いています。「神武天皇の東征伝承」という神話のコラムで「初代天皇の位についた、これが大和朝廷のおこりであると伝えられている」と、まるで史実のように述べています。

2民衆軽視の歴史です。万葉集の『貧窮問答歌』(山上憶良)もなけれぱ、秩父事件も書かれていません。

3明治憲法(大日本帝国憲法)、教育勅語を礼賛しています。教育勅語について「近代日本人の人格の背骨をなすものとなった」とたたえています。

4日清・日露戦争は日本が本格的にアジア侵略に乗り出した戦争ですが、「日露戦争は、日本の生き残りをかけた戦争だった」「(欧米の)植民地にされていた民族に、独立の希望をあたえた」と書き、朝鮮を植民地にしたのは当然であるかのようにいっています。

5韓国併合を正当化しています。「日本の安全と満州の権益を防衛するために」韓国併合は必要だったという当時の政府の考え方を一方的に記述しています。

6中国への侵略の記述も問題です。日本の中国侵略の動きには余りふれずに、「日本商品をボイコットし、日本人を襲撃する排日運動が活発になった」「列車妨害や日本人への迫害が頻発した」など、中国人の排日運動のことが繰り返し強調されます。排日運動には日本の中国への侵略行為という原因が先にあります。そのことを忘れた記述は、日中の平和友好を損なうものです。

7アジア太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼んでいます。「アジア解放」という偽りのスローガンが「大東亜共栄圏」でした。「アジアの人々を奮い立たせた日本の行動」「日本を解放軍として迎えたインドネシアの人々」と記述しています。

8日本国憲法制定についてはGHQ(連合国軍総司令部)がたった一週間でつくった憲法だ、と書かれています。多くの日本国民が戦争をしないことを誓った新憲法を歓迎したことは一言も書いていません。大日本帝国憲法を称賛した記述とは対照的です。

(歴史教育者協議会委員長の石山久男さんの報告からまとめました。文責=笠原進)
「つくる会」(扶桑社)の01年版の教科書
明治憲法を礼賛しているコラム


教育ニ関スル勅語
 1890年、議会の召集に先立ち天皇の名によって「教育二関スル勅語」(教育勅語)が発布された。これは父母への孝行や非常時には国のために尽くす姿勢、近代国家の国民としての心得を説いた教えで、1945(昭和20)年の終戦にいたるまで各学校で用いられ近代日本人の人格の背骨をなすものとなった。

憲法を称賛した内外の声
 憲法が発布されると、政府批判の論陣を張ってきた新聞も、「聞きしにまさる良憲法」であるとたたえた。また、新憲法は翻訳されて、世界各国に通告された。イギリスの新聞『タイムズ』は「東洋の地で周到な準備の末に議会制憲法が成立したのは何か夢のような話だ。これは偉大な試みだ」と書いた。ドイツの法学者イェーリングは、「議会を両院に分け、(衆議院のほかに)貴族院を設けたのはもっとも賛成するところで、私の持論を実現している」と称賛した。
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